【笑えない理由】
薔薇は昔は人間だった。丁と同じ、人間だった。
2人は物心ついた時から一緒で、孤児と言われていた。
薔薇は人間だった頃は割と表情豊かであった。
笑ったり、泣いたりとしていた。
ただし、丁の前だけで……。
だが、ある日の出来事をきっかけに…薔薇の顔から表情が消えてしまう。
それは、薔薇が薬草などを取りに1人で森に入っていた時のこと。取り終えて帰ろうとした時に薔薇の元に1匹の兎が駆け寄った。
「うさぎさん…可愛い……」
薔薇は何も考えずに兎を撫でる。無邪気な笑顔で。
その時の薔薇は運が悪かった。
偶然、狩りを終えて帰る途中の村人に出くわしてしまったのだ。その村人に、薔薇が笑ってるのが目に映ると…
「なぜ…笑っている……」
恐ろしい声で薔薇を脅す。静かに薔薇に近ずいて…
薔薇を……殴った。
「なぜ、孤児であるお前が笑う!!!!!!!!!」
理由はそれだけだ。その村人が獲物を逃してイライラしたこともあり、殴る拳がとても強かった。
「もうっ!!笑いませんから!!!!!!!!!」
そう、薔薇が言うのに村人は殴り続けた。
「二度と笑うな」
その言葉を残して、村人は帰って行った。
薔薇は…それからひとつも笑わない。
嬉しくても、悲しくても表情を変えず……
ただ、笑うのが怖いんだ…。
長文すみません……薔薇が笑わない理由です。
#長文失礼いたしました #薔薇ちゃん