#SS_LastSaga #いきつくさきに #リドローOK #エルダーグラン
#オリジナル
燦々と輝く太陽…。
先ほどまでの雨が嘘のように上がっている。
先ほどまでの激しい雨で濡れた草木からは、大粒の雨水が滴っている。
その滴る雨粒の雫は、燦々と輝く太陽の光を浴びて、キラキラと輝いている。
誰もいない雨上がりの平原の一角に、二人の男女がいた。
女の子は、横たわっている男の子の頭を自らの膝の上に乗せ、彼女の背中に生えている大きな羽根で、少年を包むかのうように、意識のない少年を見守っていた。
「…。」
眩しい太陽の光で目が覚めた少年の前には、見慣れない少女の顔があった。
いや、正確には意識を失う前に、少年が最後に見た顔だった。
少女は、少年が目を覚ましたことに気づくと、優しげな表情で微笑んだ。
「アーデイン!?」
少年は彼女の膝から飛び起きて、彼女の名を驚いたように叫んだ。
燦々と輝く太陽に照らされながら、彼女は、少年の方を向いて、優しく、しかし力なく微笑んでいる。
彼女は全身ずぶ濡れで、彼女の大きな羽根からは、先ほど激しい雨の雨粒がポタポタと滴り落ちている。
少年は自分の身体が思っていたほど濡れていないことに気がついた。
「アーデイン、きみは…。」
そう言おうとする少年の言葉を遮るように、アーデインと呼ばれた少女は優しく微笑みながら言った。
「よかった、マルクスが濡れなくて…。」
マルクスと呼ばれた少年は、優しく微笑むアーデインの顔を、申し訳なさげに見る。
燦々と輝く太陽が彼女の笑顔を照らす…。
彼女の体を滴る雨粒は、そんな太陽の光を浴びて、キラキラと結晶のように輝いていた。
それは、なんとも美しく、優しげで、そしてどこか儚げな笑顔だった…。
to be continued...