#Singularity_Club
花笠さんはサポータの案内について行く。どこがどう繋がっているか見当も付かない迷宮のような道を進んでいくと、ふと自らのよく知る感覚を覚える……だがそれは決して“思い出”というノスタルジックな言葉で語れるようなものではなかった。
この物理化電子空間に似つかわしくない、生物的な臭気。
まるで滲み出たかのような、あるいは染みこんだようなどす黒さ。
花笠さんの思考回路の中で何かが壊れていく。
『──通りで誰とも会わないと思ったら……“ラフレシア”ね。また不届き者かしら……』
それを見たサポータはそっと呟いたのだった。